中心市街地活性化プロジェクトの実施状況に関する会計検査
の結果についての報告書(要旨)
検査の背景及び実施状況
1 検査の対象
国土交通省、経済産業省など
2 検査の内容
中心市街地活性化プロジェクトについての次の各事項である。
1 平成10年度以降の省庁別事業費、国費負担額及び実施状況
2 プロジェクト実施機関の人的体制・財政基盤
3 中小企業の活性化等プロジェクトの有効性
検査の結果
1 平成10年度以降の省庁別事業費、国費負担額及び実施状況
( 1) 10年度以降の省庁別事業費及び国費負担額
☆ 内閣府(本府ほか2庁)ほか8省の合計額(年度別・省庁別の事業費は9ページ)
事 業 費 5兆0183億0712万円
国費負担額 2兆0028億2963万円
( 2) 基本計画の作成、内容及び実施状況等
ア 基本計画の作成状況等
☆ 17年度までに基本計画が作成されたのは、687地区
・その中には、基本計画で定められた中心市街地の区域の形状が一体的、一団的で
あるとはいえない地区が見受けられた。
イ 基本計画の内容及び基本計画に定められた事業の実施状況
○ 事業の実施状況を検討するには基本計画の作成からある程度の期間が必要
☆ 市区町村が地域住民等の意向を把握しないで基本計画を作成
していた。 ・・・ 137地区
☆ 中心市街地の区域に商業系用途地域が全く含まれていなかっ
た。 ・・・ 1地区
市街化調整区域が含まれていた。 ・・・ 22地区
非線引き都市計画区域の白地地域(用途地域が定められてい
ない地域)が含まれていた。 ・・・ 39地区
☆ 年間商品販売額や歩行者通行量等の具体的な数値目標を設定
していた。 ・・・ わずか25地区
☆ 事業の実施時期が「短期・中期・長期」とされ不明確となっ
ていた。 ・・・ 18地区
事業の実施時期が全く記載されていなかった。 ・・・ 6地区
☆ 土地区画整理事業、商業・サービス業集積関連施設整備事業等の具体的な事業が
記載されている地区の基本計画の中には、事業が構想段階にあり、その内容が具
体化されていないものが含まれていた。
☆ 10、11両年度に作成された329地区の基本計画のうち294地区では、5年以内に着手
できるとした事業が定められており、そのうち282地区では、地権者、関係者の
合意形成が図られていないことなどのため、5年を経過しても着手されていない
事業が含まれていた。
なお、18年5月、中心市街地活性化法及び都市計画法が改正され、同年9月に「中心市
街地の活性化を図るための基本的な方針」が定められている。
2 プロジェクト実施機関の人的体制・財政基盤
○ 市区町村、中心市街地整備推進機構及びタウンマネージメント機関(以下「TMO」
という。)の人的体制・財政基盤のほか、国、都道府県等の市区町村に対する支援体
制の整備状況等についても検査
☆ 人的体制
・プロジェクト担当課室数は計3, 369課室。
・1地区当たりの課室数は最多30課室、最少1課室。平均5. 0課室。
・1地区当たりの担当職員数の平均は15. 5人。
・行政担当部局間の連絡調整会議 ⇒ 設置地区は396(60. 8%)、年平均開催回
数は2回未満が200地区。設置したものの設置の翌年度以降開催実績のなかった地
区125。開催回数は、会議設置後、年数が経過するにつれて減少する傾向。
・窓口業務等を一元的に行う組織 ⇒ 設置地区は295(43. 5%)
・民間組織との連携を図るための民間連携協議会 ⇒ 設置地区は328( 48. 3%)、
年平均開催回数は2回未満が108地区。
⇒ 連絡調整会議、窓口業務等を一元的に行う組織、民間連携協議会のいずれも設
置していない地区が129あった。
☆ 財政基盤
( 注1)
・財政力指数(16年度) ⇒ 0. 50以上1. 00未満が最も多く352市区町(55. 4
%)。平均は0. 60(全国平均0. 46)。 ( 注2)
・経常収支比率(16年度) ⇒ 90%以上が最も多く304市町村(47. 8%)。平均
は89. 8%(全国平均90. 4%)。
(注1) 財政力指数 地方公共団体の財政力を示す指数で、基準財政収入額を
基準財政需要額で除して得た数値の過去3年間の平均値。
(注2) 経常収支比率 この指標は経常的経費に経常一般財源収入がどの程度
充当されているのかを見るものであり、比率が高いほど財政構造の 硬直化が進んでいることを表す。
( 2) 中心市街地整備推進機構
☆ 635市区町村のうち、指定していたのは2市。
☆ 1市では、業務に携わる人員は10人、専任従事者はいなかった。収益事業は実施
していなかった。
( 3) TMO
○ 16年度末までに認定された397TMOを対象
○ 397TMOの組織形態は、商工会等TMOが278、特定会社TMOが119
○ 会計検査院では15年次及び16年次に167TMOを対象に検査を実施。その結果、事業を
実施する上で十分な人的体制等がTMOに備わっていない状況となっていたなどの検
査の状況を平成15年度決算検査報告に「特定検査対象に関する検査状況」として「タ
ウンマネージメント機関(TMO)による中心市街地の商業活性化対策について」を
掲記。
☆ 人的体制
・1TMO当たりの平均配置人員数は2. 8人。3割のTMOでは従事者が1人。6割の
TMOでは専任従事者を1人も置いていない。
☆ 14年度末時点と16年度末時点とでその割合に変化はなく、改善したとは認められ
なかった。
☆ 財政基盤
・商工会等TMO ⇒ TMOの活動に係る支出の50%以上を国等からの補助金で
賄っているものが7割。収益事業を実施していたものは1割。
・特定会社TMO ⇒ TMOの活動に係る支出の50%以上を自主財源で賄ってい
るものが7割。収益事業を実施していたものは9割。
( 4) 国、都道府県等の支援体制
☆ 国
・中心市街地活性化関係省庁連絡協議会 ⇒ 基本計画に定められた事業に対する
支援を行うため10年8月に発足。10年度から16年度までの間において、局長級の
会議1回、課長級の会議27回開催。
件→16年度727件。
☆ 都道府県
・プロジェクト所掌課室数 ⇒ 47都道府県全体で326課室。最多は42課室、最少
は1課室。平均7課室。
・連絡調整会議 ⇒ 35道府県が設置。年平均開催回数1回未満が15府県。
・窓口業務を一元的に行う組織 ⇒ 23道府県が設置。
・市区町村に対する支援助言 ⇒ 43都道府県で実施。
3 中小企業の活性化等プロジェクトの有効性
○ 12年度までに基本計画が作成された455地区のプロジェクトの有効性を分析
( 1) 人口、事業所数、年間小売商品販売額等からみたプロジェクトの有効性
人口、事業所数及び年間小売商品販売額の3指標のプロジェクト実施前後の増加率とプ
ロジェクト事業費の関係を比較するなどして分析した。
☆ 人口からみたプロジェクトの有効性
→ 人口の下げ止まりに一定の寄与があったと思料された
☆ 事業所数からみたプロジェクトの有効性
→ 事業所数に対し影響があったといえるような状況には必ずしもなっていなかっ
た
☆ 年間小売商品販売額等からみたプロジェクトの有効性
→ 商業の状況が、活性化しているといえるような状況には必ずしもなっていなか
った
☆ 歩行者通行量からみたプロジェクトの有効性
(参考)中心市街地及び全国の3指標増加率の状況
( 2) 事業の種別、都市計画上の用途地域の状況などの地区の特性等とプロジェクトの有効
性
プロジェクト実施前後の3指標増加率の変化がすべて全国平均値より良好であったA
群(39地区)、すべて良好でなかったB群(43地区)を比較した。
(A群とB群の比較) A群 B群
人口増加率の変化( ポイント) 1. 19 △ 0. 87
事業所数増加率の変化( ポイント) △ 0. 04 △ 3. 39
商品販売額増加率の変化( ポイント) 1. 53 △ 9. 95
プロジェクト事業費 460億円 92億円
大規模小売店舗の区域内売場面積 36, 020㎡ 16, 316㎡
公共・公益施設の区域内新規立地件数 0. 44件 0. 29件
民間連携協議会の設置率 46. 1% 41. 8%
TMOの認定率 82. 0% 53. 4%
そして、A群とB群の比較を踏まえ、455地区について分析した。
- 1.03
0.28
- 0.97
- 0.12
- 0.61
0.63
- 0.60
0.17
- 2.24
- 1.61
- 1.46
- 3.00 - 2.00 - 1.00 0.00 1.00
中心市街地 全国 中心市街地 全国 中心市街地 全国 人口 事業所数 年間小売商品販売額
プロジェクト実施前 プロジェクト実施後 パーセント
・面整備事業実施群は、不実施群に比べ人口・商品販売額増加率の変化が良好
・市街地再開発・商業施設等整備の両方実施群は、不実施群に比べプロジェクト
事業費が非常に大きく、3指標増加率の変化が良好
☆ 都市計画上の用途地域状況等の影響の分析
・都市計画区域未指定又は用途地域未設定の地区は、3指標増加率の変化が悪い
・商業系用途地域50%以上の地区は、商品販売額増加率の変化が良好
☆ 大規模小売店舗及び公共・公益施設の立地の影響の分析
・区域内の大規模小売店舗の売場面積が区域外よりも大きく、10, 000㎡以上の大型
店がある方が商品販売額増加率の変化が良好
・区域内の公共・公益施設の立地件数が多い方が商品販売額増加率の変化が良好
☆ プロジェクト実施機関の人的体制・財政基盤の影響の分析
・民間連携協議会・TMOの有無等は中心市街地活性化に大きな影響がみられない
検査の結果に対する所見
今後の中心市街地活性化施策においては、人口増加を前提とした従来型の制度設計では
なく、人口が減少し高齢化が加速する時代に通用し、多くの人にとって暮らしやすい、持
続可能なまちづくりを実現するための基本的な方針を確立し実施していくことが望まれて
いる。
そして、国は、改正後のまちづくり三法の下、新基本方針を定め、「選択と集中」の原
則により、内閣総理大臣から認定を受けた基本計画に基づき多様な都市機能の増進と経済
活力の向上に意欲的に取り組む市区町村を重点的に支援していくこととしている。
したがって、改正後のまちづくり三法に基づく中心市街地活性化施策の実施に当たって
は、次の点に留意することが望まれる。
ア 市区町村において、中心市街地が将来目指すべき方向を見定め、改正後のまちづくり
三法及び新基本方針等を踏まえ、地域の実情に応じた適切かつ具体的な基本計画を作成
し、施策を確実に実現するための事業推進体制及び施策の進行管理のための体制の整備
・充実を図り、明確な目標を定めて施策を実現していくこと
イ 国等において、効果的な施策の実施に積極的に取り組む市区町村の事業推進体制等の
を整備し、厳しい財政状況の下、中心市街地における都市機能の増進、経済活力の向上、
「にぎわい」の回復等のための一体的な取組が効果的になされるよう効率的な国費等の
投入を行っていくこと
なお、会計検査院としては、まちづくり三法が改正され、国等が新基本方針による新た
な仕組みの下で中心市街地活性化施策に取り組むこととなったことから、今後とも、その
(別表)
○ 10年度以降の省庁別事業費及び国費負担額
上段:事 業 費
100000000 下段:国費負担額
( 単位:千円、%) 411, 130 2, 503, 806 2, 235, 949 2, 571, 862 4, 458, 944 3, 497, 678 2, 048, 058 17, 727, 429 0. 3 226, 020 1, 503, 182 1, 375, 567 1, 432, 552 1, 907, 551 2, 376, 374 1, 270, 162 10, 091, 410 0. 5 - - - - 18, 346 230, 055 129 248, 530 0. 0 - - - - 18, 346 213, 735 129 232, 210 0. 0 - 244, 676 224, 349 212, 442 175, 833 169, 518 115, 312 1, 142, 130 0. 0 - 122, 338 112, 174 106, 221 87, 916 84, 823 57, 720 571, 194 0. 0 411, 130 2, 259, 130 2, 011, 600 2, 359, 420 4, 264, 765 3, 098, 105 1, 932, 617 16, 336, 769 0. 3 226, 020 1, 380, 844 1, 263, 393 1, 326, 331 1, 801, 289 2, 077, 816 1, 212, 313 9, 288, 006 0. 4 3, 742, 892 7, 887, 583 13, 448, 460 8, 406, 291 5, 145, 638 1, 780, 971 6, 169, 579 46, 581, 416 0. 9 2, 630, 222 4, 734, 955 4, 897, 141 3, 372, 154 1, 855, 422 662, 684 567, 562 18, 720, 143 0. 9 2, 435, 984 824, 113 - - - 3, 260, 098 0. 0 2, 435, 984 824, 113 - - - 3, 260, 098 0. 1 995, 835 6, 201, 416 2, 589, 660 7, 491, 460 11, 480, 137 14, 709, 702 7, 822, 540 51, 290, 752 1. 0 604, 305 1, 833, 796 1, 288, 861 4, 651, 110 3, 055, 607 3, 594, 059 2, 283, 754 17, 311, 493 0. 8 2, 017, 048 1, 589, 115 6, 422, 127 25, 339, 483 36, 657, 684 5, 912, 032 1, 966, 921 79, 904, 414 1. 5 176, 078 731, 539 924, 705 2, 326, 574 3, 238, 946 1, 468, 850 452, 943 9, 319, 639 0. 4 12, 098, 385 4, 114, 538 6, 921, 960 3, 135, 603 2, 413, 134 2, 151, 337 2, 146, 634 32, 981, 594 0. 6 1, 800, 752 1, 216, 325 1, 772, 989 1, 010, 389 848, 236 1, 048, 581 886, 930 8, 584, 205 0. 4 13, 544, 657 11, 311, 787 19, 035, 749 30, 453, 596 31, 596, 097 22, 555, 032 24, 107, 310 152, 604, 230 3. 0 4, 977, 877 5, 082, 481 6, 956, 614 9, 729, 670 13, 290, 049 9, 495, 780 9, 435, 034 58, 967, 507 2. 9 309, 464, 973 540, 089, 653 792, 996, 991 815, 607, 627 750, 914, 391 775, 989, 374 647, 392, 7974, 632, 455, 808 92. 3 133, 185, 315 211, 617, 364 310, 439, 179 316, 797, 247 316, 179, 905 311, 043, 893 276, 931, 7861, 876, 194, 692 93. 6 - 135, 766 196, 125 442, 223 34, 717 629, 025 63, 519 1, 501, 377 0. 0 - 44, 250 55, 051 90, 022 8, 568 157, 317 25, 234 380, 442 0. 0 344, 710, 907 574, 657, 781 843, 847, 023 893, 448, 147 842, 700, 745 827, 225, 154 691, 717, 3635, 018, 307, 123 100. 0 146, 036, 556 227, 588, 007 327, 710, 110 339, 409, 719 340, 384, 287 329, 847, 541 291, 853, 4092, 002, 829, 631 100. 0 省庁名
計 国土交通省 環境省 農林水産省 経済産業省 文部科学省 厚生労働省 総務省 法務省 内閣府
内閣本府 警察庁 防衛施設庁